科目名[英文名] | |||||
環境生理生態学 [Environmental and Ecological Physiology] | |||||
区分 | 専門科目 | 選択必修 | 単位数 | 1 | |
対象学科等 | 対象年次 | 2~4 | 開講時期 | 後学期 | |
授業形態 | 後学期 | 時間割番号 | 02l2154 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
白木 克繁 [SHIRAKI Katsushige] | |||||
所属 | 農学府 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
科学技術者は、個人としての倫理こそ身につけているはずであるが、専門家としての倫理も身につけることが求められる。また、科学技術が社会にもたらす大きな効果を踏まえると、様々な意味での『安全』という観点から『科学』を俯瞰する力を習得することは極めて重要である。本講義では、生命科学に関わる倫理問題にはどんなものがあるか、また、我々研究者・技術者がもつべき倫理についてケーススタディを交えながら体系的に学ぶ。本科目は、先端の研究現場で活躍しつつ実務経験も有している教員による授業科目である。本講義の前半(第1回〜第7回)では、「環境安全」をテーマとして取り上げ、環境安全の意味、組織における環境安全管理、環境安全の具体的な題材としての廃棄物問題、研究開発におけるリスクと研究者が目指すべきリスク管理について解説する。本講義の後半(第8回〜第14回)では、知的財産と生命倫理(1980年前後の米国における遺伝子技術の倫理問題の議論;コーエンとボイヤーの遺伝子組み換え発明;人口バクテリアに関する特許の可否など)、細胞の所有権(ムーア事件の裁判、HeLa細胞をめぐる倫理問題の経緯など)、ならびにバイオバンクと倫理(データ・シェアリング、プライバシーの保護についてなど)を取り扱う。 Googleクラスルームのクラスコード:hwk226u |
到達基準 |
(1)技術者のもつべき倫理を体系的に理解し、倫理行動を実践できるようになる (2)過去に起こった実事例から、内在する倫理問題を摘出する能力を身につけることができる (3)技術者倫理に基づき化学、生命工学、情報、機械等各分野の研究開発を推進する技術を習得することができる (4)知的財産と生命倫理、細胞の所有権、バイオバンクと倫理、といったテーマについて、一定の知識を身に着けたうえで、自身の考えを述べることができる (5)研究における環境安全の重要性や研究開発におけるリスクについて正しく理解する。 (6)研究推進と自主的リスク管理とのバランスがとれた技術者としての素養を身につける。 |
授業内容 |
?4月10日 第1回 細胞はだれのもの?:細胞の所有権をめぐる裁判(ムーア事件など)、HeLa細胞をめぐる倫理問題の経緯など ?4月17日第2回 南北問題:WTO、TRIPS協定、医薬品アクセス、ウイルスの所有権、生物多様性条約におけるアクセスとベネフィット・シェアリングなど ?4月24日 第3回 再生医療:iPS細胞とES細胞の特許、倫理問題など ?5月1日第4回 遺伝子と特許:1980年前後の米国における遺伝子技術の倫理問題の議論を振り返る。コーエンとボイヤーの遺伝子組み換え発明、人口バクテリアに関する特許の可否(チャクラバティ事件)、ミリアッド事件の米国最高裁判決など。 ?5月8日第5回 産学連携:共同研究、大学発ベンチャー、TLO、利益相反問題など ?5月15日 第6回 研究室におけるナレッジのシェアと管理:不正競争防止法、営業秘密、ラボノートなど ?5月22日 第7回 バイオバンクと個人情報:バイオバンクとは、データの収集とシェアリング、個人情報保護法、欧州のGDPRなど ?5月29日 第8回 まとめと様々な課題:COVID-19をめぐる諸問題、パテントプール、独占禁止法、改正種苗法など 6月5日 「環境安全とは」(イントロダクション) 安全の意味と難しさ、環境と安全のアナロジーについて学ぶ。 6月12日 「大学の社会的責任」 企業や大学における組織としての環境安全管理やコンプライアンス、 社会的責任について考える。 6月19日 「廃棄物の環境安全」 環境安全に関する具体的な題材として廃棄物問題を取り上げ、科学技 術の進化・多様化に伴う廃棄物の複雑化と、その解決に必要な対策に ついて考える。 6月26日 「実験研究におけるリスク」 大学で実際に起こった実験事故の事例や、実験研究に存在する潜在的 危険要因などから、研究開発におけるリスクについて学ぶ。 7月3日 「実験室はなぜ危ないのか」 実験室には多くの潜在的危険源が存在する。このような実験室環境 を、人・モノ・場のシステムとして捉え、モノの危険性やルールの意 味などを、システムの観点で考える。 7月10日 「安全な実験研究環境のために」 実験研究現場において、リスクを適切に管理、削減し、研究と環境安 全のバランスをはかるための自主的リスク管理の重要性について考え る。 |
履修条件・関連項目 |
なし |
テキスト・教科書 |
資料については、前半・後半のそれぞれの開始時に配布・指示する。 |
参考書 |
成績評価の方法 |
レポートの内容(90%)及び授業の取り組み姿勢(10%)をもとに、5段階(S,A,B,C,D)で評価する。ただし、前半に関しては、全コマ全出席であることが評価の前提条件となる。後半についても同様であり、全コマ全出席であることが評価の前提条件となる。 |
教員から一言 |
大島コメント:大学における研究開発は、科学技術立国の基盤として重要な役割を果たしていますが、一方で実験研究中の事故も多発しています。研究のアクティビティを損なうことなく、安全に研究を遂行するためには、研究に携わる者の自主的リスク管理の姿勢が不可欠です。本講義を通じて、技術者・研究者に求められる自主的リスク管理能力を身につけてもらうことを期待しています。 隅藏コメント:STAP細胞事件以降、大学や企業においてデータねつ造問題が相次ぎ、研究者・技術者の倫理が強く問われています。本講義で、科学技術者がもつべき倫理について改めて考えてみましょう。研究者・技術者の負う社会的責任、論文等オーサーシップ、研究ノートの作り方など、今後、研究開発者、技術者として活躍する人には、是非とも知っておいてほしいアイテムばかりです。 |
キーワード |
倫理、技術者倫理、生命倫理、研究倫理、行動規範、説明責任、応用倫理、安全、環境安全、リスク、事故事例、自主的リスク管理 |
オフィスアワー |
〇大島については、外部の大学(東京大学大学院新領域創成科学研究科)に所属する教員であるため、必要に応じて電子メール(oshima@k.u-tokyo.ac.jp)でご連絡ください。 〇隅藏については、外部の大学(政策研究大学院大学)に所属する教員であるため、必要に応じて電子メール(sumikura@grips.ac.jp)でご連絡ください。 |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
大島:http://www.oshimalab.k.u-tokyo.ac.jp/ 隅藏:https://gist.grips.ac.jp/faculty/sumikura.html |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2023/03/29 15:54:50 |