科目名[英文名]
農産プロセス工学   [Agricultural Process Engineering]
区分 全学共通教育科目  選択必修   単位数 1 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 02t0307
責任教員 [ローマ字表記]
高橋 在也   [TAKAHASHI Zaiya]
所属 農学部附属家畜病院 研究室 2-203  メールアドレス

概要
概要:
本学で学び研究する農学や工学などの科学技術は、企業との連携活動(産学連携)を通じた社会実装により、社会に広く還元される。今後の研究の方向性としては、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成された持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)の視点が欠かせない。また、持続可能な社会を実現するには、企業との連携が必須である。企業と共に未来社会を創造するためには、将来の社会・産業ニーズを踏まえ、経済・社会的にインパクトのあるターゲット(出口)を明確に見据えた目標を設定した研究を推進することが重要となってくる。
本講義では、食品工業分野のサントリー株式会社から講師を招き、バイオ関連のイノベーション創成のための考え方などについて、座学、事例研究、グループ演習を通じて理解を深め、研究成果の社会還元の流れについて総合的に習得することを目的に、初学者向け以下のの内容を学ぶ。
1.産学連携と社会実装
2.未来社会を創造するためのイノベーション
3.イノベーション創出活動としてのオープンイノベーション
本科目は教養教育グローバル展開科目として開講され、実務経験のある教員による授業科目である。担当教員は企業において産学連携による新規事業分野の立ち上げに直接携わっており、授業では、大学の基礎研究とのちがい、企業での研究活動とその事業化プロセスの重要性と産学連携の役割などについて講義、演習を行う

2日間合計8コマの集中講義で行う。
8月25日(金曜日) 13:00-18:00 3限〜5限
8月26日(土曜日) 08:45-18:00 1限〜5限
講師:サントリー 元イノベーションセンター長 中原光一氏
到達基準
1)社会におけるSDGsの考え方とその役割の理解、未来社会をイメージした基礎研究と産学連携による取り組みを実践するための方策を提言できる。
2)グループ内で主体的、自律的に考え、発言し、論議することで、有効な結論を導き出せるようになる。
主な目標:自主性/自律性〇、リーダーシップ/調整能力◎、コミュニケーション〇、文章表現〇、プレゼンテーション〇、課題探求、問題解決◎
授業内容
授業内容:
第1回 ガイダンス・企業における研究:サントリーが事業として大事にしていること
講義全体の進め方、評価方法の説明を行う。その後、大学での基礎研究、その成果を活用し社会実装を目指す企業との産学連携の位置づけとその重要性について解説する。

第2回 企業内R&D部門の挑戦とは
ゲスト講師を招聘し、科学技術とSDGsに関して、用語の解説、国内外での取り組みに関する動向、産学連携による社会実装及び成果の社会還元による波及効果などについての課題提示をお願いする。


第3回 事例研究 1:素材発掘から事業化の事例
サントリーが事業化したポリフェノール事業は、新規事業領域として健康食品事業カテゴリーを創出するだけに留まらず、他の食品工業会社でも事業化され、健康食品領域での新しいカテゴリーとして定着している。このポリフェノールという素材発掘からどのように事業化を進めたのかという事業化プロセスの事例から、素材を発掘したら、どのような事を考えて進めて行くのかを5,6名程度のグループ討議も交えて、具体的に学習・理解する。

第4回 事例研究 2:基盤研究のサイエンスからエンジニアリングに変えて事業化の事例
サントリーでの新しく基盤技術を見つけて・創り、現在のビール事業、珈琲事業に展開して事業化に結びつけた事例研究。企業における基盤研究力を技術だけでは事業化できない現実をどのように乗り越えて、事業化に至るのか。その手法やとり組みについて5,6名程度のグループ討議も交えて、具体的に学習・理解する。

第5回 事例研究 3:データ分析からの事業化の事例
 データ分析によるあらたなDX事業創出にむけた事例について、「情報の事業化」の難しさについて、5,6名程度のグループ討議を交えて、具体的に学習・理解する。


第6回 事業化と知的財産戦略
 企業の事業戦略/全社経営戦略に基づく研究開発により、新製品・新事業が創出され、同時に研究活動の結果として知的財産が生み出される。こうした企業研究は自社単独の研究に留まらず、国内外の企業、大学、研究機関との連携が行われている。事業化とリンクさせた知財戦略として、どのような知財が事業マネジメントの観点から有益な知財なのか、事業の強化・拡大に関し、どのように知財活用するのか等を具体的事例をあげて説明する。

第7回 オープンイノベーション
 産学、産官学、産産といった様々な形態のオープンイノベーションが存在するが目的は、事業創出である。事業創出の観点から、単に産学が共同研究すれば、事業化にならない現実から、どのような観点でオープンイノベーション活動を推進すべきなのか、どのような手法を用いて行うべきなのか、技術だけでなく、マネジメント系のスキルの重要性について説明する。

第8回 人財育成
 サントリーとしての人財育成を例に今後の理系人財について説明。確固たる技術の知見だけでなく、研究推進のマネジメント系の経営がわかる技術者、研究とマネジメントの両利きの人財が必要とされ、今後活躍の場が広くなっていくことを説明する。
履修条件・関連項目
授業時間12時間に加え、授業で配布する教材を使って本学の標準時間数に準ずる予習・復習を行うこと。
テキスト・教科書
決まったテキストは設定せず、毎回講師が作成した教材を配布する
参考書
「攻めのIT戦略」(NTTデータ経営研究所,NTT出版,2015)
「トップ企業が明かすデジタル時代の経営戦略」(國領二郎・三谷慶一郎・価値創造フォーラム21,日経BP,2017)
「DX経営戦略」(ジェラルド・C・ケイン等・三谷 慶一郎監訳,2020)
成績評価の方法
講義における成績評価は、講義のへの参加姿勢(クラスパーティシペーション)、課題レポート等を総合的に勘案して行い、本学が定める標準的な学修効果が認められる場合に単位を付与する。平授業参加度30%:授業内での挙手、発言等の参加度
提出課題30%:ゲスト講師の講義内容に関する理解に関するレポートの充実度
グループ活動40%:グループ演習における貢献度と発表内容

S: 90 点以上、A:80 点以上90 点未満、B:70 点以上80 点未満、C:60 点以上70 点未満。出席率が70%未満の学生に対して成績の付与は行わないが、出席しただけではクラスパーティシペーションと認めない。
教員から一言
農学と工学の融合研究は東京農工大学の特徴である。その成果は、産学連携を経て社会実装される。その際の基礎研究の重要性と社会還元のための設定目標となるSDGsの考え方を学ぶ。さらには、それらを達成した未来社会をイメージし、実現するための科学技術課題の設定や解決方法などの最先端の取り組みを理解する。今回の講義が、これからの専門分野の学習や研究テーマの設定など、さらには、社会人として将来にも役立つ知識と経験となることを期待する。
キーワード
科学技術、農工融合、基礎研究、産学連携、イノベーション、社会実装、SDGs、未来社会、グローバル社会、オープンイノベーション
オフィスアワー
質問、相談があれば、各授業後に居残り回答する。後日記載のメールアドレス等への質問事項の送信により、質問等には可能な限り対応する。
備考1
〇講師
中原光一
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社
1988年九州大学大学院農学研究科発酵学専攻修士課程修了、同年サントリー株式会社入社。ポリフェノールの基盤研究や素材開発から、酒類製品や飲料製品の基盤となる技術開発や原料開発などの新規技術開発業務に主に従事。2019年4月より現職。農学博士。2004年化学工学会賞技術賞。東京農業大学客員教授。
備考2
講義日程
8月25日(金曜日)13:00-18:00 3限〜5限 
8月26日(土曜日)08:45-18:00 1限〜5限 
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2023/04/14 0:24:25