科目名[英文名]
安全工学   [Safety Engineering]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 05LC0105
責任教員 [ローマ字表記]
深沼 光   [FUKANUMA Hikaru]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
老化は、遺伝子により付与される要因に加え、外部の要因によって大きく影響を受ける。外的要因がいかに生体に影響を与えうるかに関して、その諸相を分子、細胞、生体システムについて解説する。特に外的要因に対する高齢者の生体反応に関して、自然科学的側面のみならず、医学的、そして、社会科学的立場から考察を加え、抗加齢や健康長寿の源を探る。本講義は、東京都健康長寿医療センター研究所の7名の講師によって行われます。
到達基準
講師が述べる基礎的な用語、概念を理解できる。
講師が述べる各生命現象の老化による変化そして老化における役割が理解できる。
老化における分子レベルから個体レベルまでの機能変化が生体にどのような影響を与えるのかを説明できるようになる。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP三つのポリシーのカリキュラムマップを参照してください。
URL: https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
本講義は以下の7回の講義(それぞれ連続2コマ)と1回の試験により構成される。具体的な開講日程についてはクラスルームに掲示するので、そちらを確認すること。

① 柳井修一「聞こえの問題」
 老化に伴う聴力低下(難聴)には有効な改善手法が存在しないため、難聴を未然に防ぐための努力が重要である。まず、我々が音を含む刺激をどのように受け取り、反応しているかを解説する。その後、音が聞こえる仕組みと難聴の種類を紹介し、高齢者の聴力特性の理解を目指す。さらに、聴力が低下した高齢者に対する家族等の関わりかたを含め、高齢化社会における「聞こえの問題」について考える。

② 村山洋史「健康の社会的決定要因」
 私たちの健康は、細胞や遺伝子、あるいは健康的な行動を行っているかどうかのみで決まっているわけではない。人とのつながりや生活環境などの社会的要因にも多大な影響を受けている。これらは「健康の社会的決定要因」(Social Determinants of Health)と呼ばれ、近年注目を集めている。本講義では、高齢期における健康の社会的決定要因について解説する。

③ 齊藤祐子「脳の病理と認知症の診断」
 「認知症」という病名は社会問題となっているほど周知の疾患である。しかし、その診断は多数あり、症状にも個人差が大きく、多様である。私たちは、患者様が亡くなられた後、御遺族の同意を頂いた方の病理解剖を行って、診断を行い、個々の臨床症状や画像の所見との照合を行うことを研究の基本として行っている。まず、本講義ではその根底にある、加齢脳に加わる「認知症」の形態的な変化を呈示し、認知症研究の現状の導入を行う。

④ 堀田晴美「痛み、自律神経」
 高齢者における高血圧と一過性低血圧は、ふらつきや転倒、それによる骨折、さらには認知症の発生など、重篤な疾患の一因となります。また高齢者では夜間頻尿や、腰痛などの痛みも増えてきます。これらの症状には自律神経が密接に関わります。この講義では、「痛み」と「自律神経」について、基本的な生理学的しくみを学びます。また、それらの問題に対処するための物理療法の作用メカニズムについて最新の知見を紹介します。

⑤ 石渡俊行「加齢とがん」
 がんは40年近く、日本人の死因の第一位を占めており、その大部分は高齢者に発症する。高齢者のがんの発症には、遺伝子異常の蓄積や不完全なDNA修復、染色体末端にあるテロメア長の短縮による染色体の不安定性などが関与していると考えられている。この講義では、高齢者がんの発症機序、増殖動態、他の臓器やリンパ節への転移機序と、代表的な高齢者がんである前立腺がん、胃がん、大腸がん、膵臓がんなどの特徴について概説する。

⑥ 石井賢二「脳の老化と認知症の画像診断」
 脳は、生命維持の中枢であると同時に、人間の社会性や知的活動を生み出す重要な臓器である。健康な脳の加齢変化は、成熟と機能低下が混在する。近年話題となっている認知症の原因として、難溶性のタンパク蓄積が注目されている。この講義では、先進的脳画像診断技術(MRIやPET)を用いて、脳の加齢変化と、現在精力的に研究が進められている認知症の原因や根本治療薬(疾患修飾薬)開発について、最新の研究成果を概説する。

⑦ 豊原 潤「脳内環境の維持と疾患」
 これまで脳神経科学は神経細胞の解析を中心に行われてきましたが、近年、脇役と考えられていたグリア細胞や神経細胞と周囲の細胞との相互作用によって維持される脳内環境の維持が神経細胞の健全性にとって重要であると認識されるようになりました。本講義ではこれら細胞間の相互作用の解析に不可欠な分子イメージングの手法について概説し、脳内環境の維持と老化および疾患の関係について紹介する。

⑧ 内田さえ「総括と試験」
 健康長寿科学1について総括する。7回の講義(①〜⑦)の内容について筆記試験を行う。試験当日に各回の講義からの設問(記述および選択式、解答欄付き問題用紙)を配布するので、試験時間内に回答し提出する。
履修条件・関連項目
基礎生物学、生化学、基礎生理学、基礎分子生物学、基礎物理化学を履修している事が望ましい。「本学の標準時間数に準ずる」時間で、予習・復習(授業時間外学習)をすること。
テキスト・教科書
必要に応じて講義毎にプリント配布。
参考書
・驚異の小器官 耳の科学(杉浦 彩子著、ブルーバックス)
・「つながり」と健康格差: なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか(村山洋史著, ポプラ新書, 2018)
・エスクロール基本神経病理学 (F.グレイ)
・標準生理学 第9版(医学書院)
・ワインバーグがんの生物学(南江堂)
・医学のあゆみ 脳機能イメージングの最前線 2019年270巻9号
・脳内環境辞典(メディカルドゥ)
成績評価の方法
出席(受講)及び最終日の試験により評価する。原則として試験は必須とし、出席のみによる加点は行わない。(コロナウイルスの影響などの諸事情によりレポート試験に変更となる場合がある。レポート課題は各講義の開講時に本科目のクラスルームに掲載する。)
教員から一言
老化に伴う様々な生理的変化等について、自然科学的な側面に加え、医学的な側面、そして、社会科学的な側面からも講義します。
キーワード
老化、聴覚、健康、社会的要因、神経病理、認知症、痛み、自律神経、がん、脳画像診断、脳内環境
オフィスアワー
e-mail(suchida@tmig.or.jp)で問い合わせてください。
備考1
講義予定日は、順序の入れ替えや変更がある場合があります。クルスルームで確認してください。
備考2
柳井修一 http://www2.tmig.or.jp/Mn_B/Japanese/index.html
村山 洋史 https://www.tmghig.jp/research/team/shakaisanka-chiikihoken/shakaisanka-shakaikouken/
齊藤祐子 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyorigaku/shinkeibyorigaku/
堀田晴美 https://www.tmghig.jp/research/team/roukanou-shinkeikagaku/jiritsushinkei/
石渡俊行 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyorigaku/
石井賢二 https://www.tmghig.jp/research/team/shinkeigazou/petgazou-shindan/
豊原 潤 https://www.tmghig.jp/research/team/shinkeigazou/petyakuzaikagaku/
内田さえ https://www.tmghig.jp/research/team/roukanou-shinkeikagaku/jiritsushinkei/
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
英語
更新日付
2023/02/16 22:59:50