科目名[英文名]
特許法   [Patent Law]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 通年 
授業形態 通年  時間割番号 05LC0106
責任教員 [ローマ字表記]
新井 信昭, 矢野 卓哉   [ARAI Nobuaki, YANO Takuya]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
健康長寿に迫る科学には多面的なアプローチが必要である。本講義では、老化の基礎的概念や加齢に伴う神経細胞変性、サルコペニア、フレイルなどの老化関連疾患について述べる。また、抗老化の観点から老化のバイオマーカーや酸化ストレスについて、さらに、幹細胞からの再生医療を概観する。講義を通じて社会への還元の大きい健康長寿研究のフロントランナーたちの活動について学ぶ。
到達基準
講師が述べる基礎的な用語、概念を理解できる。
講師が述べる各生命現象の老化による変化そして老化における役割が理解できる。
老化における分子レベルから個体レベルまでの機能変化が生体にどのような影響を与えるのかを説明できるようになる。
本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP三つのポリシーのカリキュラムマップを参照してください。
URL: https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
本科目は7回の講義(それぞれ連続した2コマ)と1回の試験から構成される。具体的な開講日程はクラスルームを確認すること。

① 佐藤綾美「老化制御とビタミン」
 健康寿命延伸を目指す上で、老化制御研究の役割は大きい。一方で、栄養科学による老化制御へのアプローチは高い関心が寄せられる。本講義では、基礎老化学として、老化と加齢の違いや寿命、老化指標等について説明するとともに、老化関連疾患に対するビタミン(主にビタミンC)の機能について、エピジェネティクスとの関わりを含む分子レベルから臨床まで最新の知見を紹介する。

② 藤田泰典「ミトコンドリアと老化」
 ミトコンドリアはエネルギー産生をはじめ多彩な役割を担う細胞内小器官である。その機能異常は細胞の働きや生存に影響を及ぼし、様々な疾患の病態に関与している。老化とミトコンドリアの関係については古くから注目されており、現在も盛んに研究がなされている。本講義では、ミトコンドリア機能異常に応答する細胞内システムや細胞外分泌因子について概説し、これらと老化、疾患との関連性について紹介する。

③ 津元裕樹「プロテオミクスによる老化研究」
 生体を構成する様々な分子の中で、実際の生命活動に携わっているのはタンパク質である。酵素反応、細胞内外への物質の輸送、分子の認識など、生命を維持するうえで重要な機能を担っているため、タンパク質を網羅的に調べることにより、老化や疾患の分子機構に迫ることができる。本講義では、オミクス研究のひとつである「プロテオーム解析」を用いた、バイオマーカー探索や病態メカニズムの解明をめざした研究について紹介する。

④ 大澤郁朗「酸化ストレスと水素分子」
 酸化ストレス防御系の破綻が老化と関連疾患の主要なエンハンサーであると考えられ、その効果的抑制法が探索されてきた。いわゆる健康食品の開発もその延長線上にあるが、作用機序と効果の両面で十分な研究成果が挙がっているとは言えない。そこで、近年、大きく着目されている水素分子について、疾患モデル動物を用いた研究から人での臨床研究及びその作用機序について概説し、その問題点と今後の展開を議論する。

⑤ 重本和宏「サルコペニアとフレイル」
 2010年にサルコペニアの定義と診断基準が欧州で提唱され、それを土台にして米国に続き2014年にはわが国でもアジア人を基準とする指標が発表された。さらに2017年には、サルコペニアがICD10(国際疾病分類)に登録されるに至り疾病としての概念が確立された。本講ではサルコペニアとフレイルの関係と病態メカニズムに関わる基礎研究の最前線を紹介する。

⑥ 豊田雅士「幹細胞の組織機能に果たす役割と、再生医療への応用」
 ヒトは約37兆個、200種類余りの細胞から構成されている。これらの細胞が各々の機能を果たすことで「生きている」ことになるが、加齢とともにその機能は低下、すなわち老化し、病態発症へとつながる。生体の恒常的機能の維持には、「幹細胞」とそれを支える周囲の環境が重要であると考えられている。恒常性機能における幹細胞の果たす役割とは何かを考え、また期待される幹細胞を使った再生医療とはどういうものかについて概説する。

⑦ 高山賢一「生命現象を支える転写、エピゲノム作用機構」
 核内での遺伝子発現制御は生命や細胞の運命を支える根本的な分子機構である。DNAシークエンスの革新的な技術進歩が遺伝子発現の研究アプローチを一変させるとともに、発現調節としてのエピゲノム機構、および非コードRNAといった新たな分子群の機能に注目をもたらしている。本講では転写因子として主に核内受容体を中心に取り上げ、そのエピゲノム調節機構および非コードRNAの機能について基礎から概説、老化、がんに注目し生命現象における役割を考える。

⑧ 萬谷博「総括と試験」
7回の講義(①〜⑦)の内容について筆記試験を行う。試験当日に各回の講義からの設問(記述および選択式、解答欄付き問題用紙)を配布するので、試験時間内に回答し提出する。
履修条件・関連項目
基礎生物学、生化学、基礎生理学、基礎分子生物学、基礎物理化学を履修している事が望ましい。「本学の標準時間数に準ずる」時間で、予習・復習(授業時間外学習)をすること。
テキスト・教科書
講義資料は、必要に応じて講義毎に配布、あるいは本科目のクラスルームに掲載。
参考書
① ビタミンCの事典 (東京堂出版, 2011)
② 実験医学増刊 Vol.37 No.12ミトコンドリアと疾患・老化 (羊土社)
③「現代質量分析学」高山光男、早川滋雄、瀧浪欣彦、和田芳直・編 (化学同人)
④「水素分子はかなりすごい 生命科学と医療効果の最前線」深井 有著(光文社新書)
⑤ サルコペニアー概論―がいろん 荒井秀典監修 (ライフサイエンス出版)
⑥ 幹細胞と再生医療 中辻憲夫著 (丸善出版)
⑦ 遺伝子発現制御機構 (東京化学同人)
成績評価の方法
出席(受講)及び最終日の試験により評価する。原則として試験は必須とし、出席のみによる加点は行わない。(コロナウイルスの影響などの諸事情によりレポート試験に変更となる場合がある。レポート課題は各講義の開講時に本科目のクラスルームに掲載する。)
教員から一言
老化に伴う様々な生理的変化等について、自然科学的な側面に加え、医学的な側面、そして、社会科学的な側面からも講義します。
キーワード
老化、老化関連疾患、サルコペニア、フレイル、抗酸化、ビタミン、内分泌、幹細胞、再生医療、プロテオミクス
オフィスアワー
e-mail(manya@tmig.or.jp)で問い合わせてください。
備考1
・新型コロナウイルス感染拡大の影響によるシラバスの変更については、本科目のクラスルームから確認してください。
・講義予定日は、順序の入れ替えや変更がある場合があります。本科目のクラスルームから確認してください。
備考2
佐藤綾美 https://www.tmghig.jp/research/team/roukaseigyo/bunshiroukaseigyo/
藤田泰典 https://www.tmghig.jp/research/team/roukaseigyo/seitaichousetsukinou/
津元裕樹 https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/proteome/
大澤郁朗 https://www.tmghig.jp/research/team/roukaseigyo/seitaichousetsukinou/
重本和宏 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyotai/undokiigaku/
豊田雅士 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyotai/shinketsukanroukasaiseiigaku/
高山賢一 https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/systemkareiigaku/
萬谷博  https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/bunshikikou/
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
英語
更新日付
2023/03/01 16:43:04