科目名[英文名]
化学システム工学実験Ⅰ   [Chemical Engineering Experiment Ⅰ]
区分 共通科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 106i0806
責任教員 [ローマ字表記]
栁澤 実穂   [YANAGISAWA Miho]
所属 農学部附属硬蛋白質利用研究施設 研究室 2-203  メールアドレス

概要
【初めに】本講義は、大学で教える2種類の学問(理論学問と実践学問)の中で、実践学問として経営学の分野の経営戦略論の講義を行います。実践学問では、理論知識だけでなく、実践知識も重要とします。実践学問としての経営学には、戦略、財務、会計、マーケティング、組織等に関する理論知識が存在しています。一方、理論だけでは尽くせない現実の企業経営に必要な知識も必要となります。どのように戦略を立案し、不確実な状況下で判断・意思決定し、目的達成への具体的行動をいかに実現していくか、という現実に則した極めて具体的な実践的知識です。実践学問においては、理論学問が目指す問題を理解し分析することだけでは、不十分です。その問題を何らかの具体的な形で解決する行動が必ず求められます。つまり、理論知識を用いることで、理解し、分析し、その上で、実践知識の活用によって実行することになります。

【講義形式】国内外のビジネススクールで行われているケースメソッド法による講義形式。ケースと呼ばれる、実際の会社でおきた経営の出来事を物語り的に記述したものを使い、ケースから考えられる経営課題を洞察し、その問題への意思決定と解決への責任を果たそうとすることがケースメソッドでのゴールとなります。そのために、講義参加者が様々な意見を出し合うディスカッションが必要となります。
ケースディスカッション後には、正解はありません。なぜなら、ケースと似た問題が生じることはあるけれど、全く同じ問題が生じる事はないからです。 つまり、経営問題には、数学と違って唯一最終の正解というのは有りません。参加者自身が各自、ディスカッションを通じて自ら構築したものが各自の正解となります。

【講義プロセス:3つのステップ】 個人予習・グループ討議、クラスディスカッション3つがあります。
①個人予習:個人予習では、、ケースを読み、何が書いてあり、どのような状況で、何が問題になりそうなのかということを自分なりに判断し、自分ならどうするという実行案を考える。 受講生は、自分自身を登場人物の立場におき、自分に意思決定が迫られていると考えながらケースを読んでください。当然、ケースには完全な情報は記載されていない。実際の経営の場面では、完全な情報を入手して意思決定をすることはあり得ないことを理解してください。
②グループ討議:学生のみでのインフォーマルなグループ討議を行ってください。 このグループは、講義で行うグループ発表のメンバーと同じで、半年間変更はありません。講義参加学生のみで議論することの意味は、とにかく声を出して自分の意見を言うという練習になるからです。そうすることで、自分の考えていることと、他の参加者が考えていることを知ることが出来ます。
①、②は毎回の講義開始前までに終了しておくこと。
③全体討議:受講生全員がクラスでディスカッションを行います。グループ討議以上に参加者の多様性が増し、様々な意見を出し合うことが新たな検討課題の発見になります。この全体討議を通じて、自らの意思決定の再検討を行い、自分で判断し行動を提案するという思考実験を絶えず行う事になります。

経営戦略は企業戦略と事業戦略に区別される一方で、機能別に細分化されます。技術戦略はその一部であり、製造業等にあっては持続的な競争優位の確立と維持の点で最優先される戦略です。技術戦略は、技術開発及びその利用に関する企業の姿勢であり、かつ、技術の影響力はビジネスプロセス全体に関係するので、単に技術開発レベルではなく、広い視野で考える必要があります。

本コースは、経営戦略の理論的背景に焦点を当て、戦略、競争優位、比較優位、収穫逓増(規模・範囲の経済、ネットワーク外部性等)などの理論的概念について解説し、それらを実際のケースに適用することで実際の戦略分析・立案においてどのように関連してくるのか、様々な企業のケースを使い、経営戦略、事業戦略、技術戦略等を講義とディスカッションを通じて学んでいきます。
例えば、創出された技術が事業として結実していくためには、技術を着実に企業価値へ変換する経営戦略と整合性を持った技術戦略を必要とし、その構築と実施をどのように行うかが課題となります。

経営戦略には正解はなく、さまざまな戦略理論は実務に対する問題提起にすぎません。それらを正確に理解することは大切ですが、それはあくまでも参考程度にとどめておくことが肝要です。そのうえで最終的には、受講生一人ひとりが意思決定の基軸を独自に確立することが大切です。本講義の最終的な目的は、そのためのヒントを与えることにあります。

到達基準
知識・理解の観点
・経営戦略論と技術戦略の関連性に関して説明できる。
・技術戦略と環境分析の関係を理解し、環境分析が出来る。
・技術戦略の構築と実施プロセス関して、理解し、説明できる。
・技術戦略の評価と展開に関して理解して、説明が出来る。
思考・判断の観点
・経営戦略、技術戦略の知識、フレームワークを使用して、現実のビジネスにおける、経営戦略、技術戦略上の課題、問題点を多面的に分析して、説明できる。
関心・意欲の観点
・技術戦略の知識、フレームワークを適応して、企業または組織が直面している技術戦略上の課題、問題点を分析して、解決策を提案できる。
態度の観点
・クラス討論への目的意識と論理性を持った発言。
技能・表現の観点
・技術戦略の基本的知識、ツール、フレームワークを適切に、効果的に報告書や発言に取り入れることが出来る。

授業内容
1)経営戦略と企業環境に関わる課題を理解した上で、技術戦略の構築と実施に関して、必要な知識、フレームワーク、ツール等々をケーススタディーと関連付けながら解説し、議論します。
経営戦略と技術戦略:競争優位性の確立と維持に関する技術戦略技術戦略と環境分析:将来の不確実な事業環境を分析し、技術戦略の対象課題を明確にする。
戦略の構築と実施:対象課題に対して技術戦略を構築して実施する。
戦略の評価:技術戦略を様々な観点で評価する。
戦略の展開:技術戦略を様々な方法で展開する。
講義の未定部分のケースは、受講生の専攻科人数を加味して後日決定します。

2)講義を通じて取得した知識、フレームワーク、ツール等を基本として、ケースとして取り上げる企業が抱えている技術戦略上の課題、諸問題を取り上げて分析、議論し、解決方法を探ります。

3)講義中で議論するケースの詳細および資料等は、事業支援システム「moodle」に資料アップします。
3)講義に加えて、3回のケースグループ発表、2回のケースレポート
  
第1回(4/08)ガイダンス、授業の進め方 研究とマネジメントの関係、特に戦略・マーケティング
経営戦略とは、大学発ベンチャー、企業戦略の違い
第2回(4/15)新事業開発マネジメント(1)
企業の成長プロセスとビジネスモデルキャンパス  [ケース:マクドナルド]
第3回(4/22)新事業開発マネジメント(2) ベンチャーの戦略     [ケース:チャレナジー]     
第4回(4/29)とテクノロジーマネジメント(3) ベンチャー企業の評価とファイナンス
 (必ずPCを講義に持ってくること、エクセルを使ったのシミュレーションで説明をします。)
(5/06)休講
第5回(5/13)テクノロジーマネジメント(1) 技術戦略 [ケース:日本ゼオン]
第6回(5/13)グループ発表①   グループ発表ケース:日本ゼオン)  
第7回(5/20)テクノロジーマネジメント(2)  技術マーケティングとオープンイノベーション      
第8回(5/27)テクノロジーマネジメント(3) イノベーションマネジメント(1)[ケース:富士フイルム]    
第9回(6/03)テクノロジーマネジメント(4) イノベーションマネジメント(2)[ケース:キヤノン]          
第10回(6/10)グループ発表②  グループ発表ケース:未定     (中間レポートケース:キーエンス)      
    (6/17)休講
第11回(6/24)イノベーションとグローバル経営(2)  ベンチャー企業のグローバルマネジメント
第12回(6/24)イノベーションとグローバル経営(1)  グローバル イノベーションとR&Dマネジメント  「ケース:未定」
第13回(7/01)イノベーションとグローバル経営(3)  日本企業のグローバルマネジメント
[ケース:オムロン] 
第14回(7/18)イノベーションとグローバル経営(4)  グローバル経営と戦略 「ケース:ゴディバ」
(期末レポート:テラモータース)    
第15回(7/15)グループ発表③           「ケース:未定」
履修条件・関連項目
①ビジネスケースを用いた講義時間内でのクラスディスカッションを中心に授業を進めます。従って、ケース分析の事前準備ディスカッションへの参加が必須です。
②講義でのレポート及びグループ発表では、会計、組織・マーケティングに関する知識が必須となります。 特にレポートでは財務分析を課しているので、会計学概論を履修すること。
③後期開講の経営戦略略論を受講予定の人は、受講することをお奨めします。
テキスト・教科書
教科書は使用しません。ケース教材は事前に配布します。
毎回の講義には事前課題図書・文献(必読)と参考資料があります。必読図書・文献は事前に読んでいることを前提に講義を行います。
必読図書・文献で書かれた内容はあくまでも授業の前提知識という位置づけになります。
講義ではこの前提知識をもとに独自に問題を設定し、受講者とともに解のない問いについて議論を深めていきた いと思っています。
各週に事前に読んで準備しておく課題図書の分量がかなりありますのでこのシラバスを読んだらできるだけ早いタイミングで予習の貯金をしておくことを強くお勧めします。
新しい経営学 三谷宏治著(2019)が 目的別に分けて書かれているので、ケースレポート及び、グループディスカッションの際に参考になります。
参考書
マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則 ピーター・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳) ダイヤモンド社; エッセンシャル版 (2001/12/14)
[新版]競争戦略論I, II マイケル E.ポーター (著), 竹内 弘高 (翻訳), DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 2018/7/19
戦略経営論 ガース・サローナ他、石倉洋子訳 東洋経済新報社 2002年
戦略サファリ ヘンリーミンツバーグ著 齋藤嘉則監修 東洋経済新報社 2012 
経営分析入門 大津広一著 ダイヤモンド社 2013
ストーリーとしての競争戦略 楠木建著 東洋経済新報社 2010
ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ著 山岡洋一訳 日経BP出版センター 1995
新しい経営学 三谷宏治著(2019) ディスカヴァー・トゥエンティワン
オープンイノベーション ヘンリー・チェスブロウ他著、長尾高弘訳 英治出版  2008
新版ブルー・オーシャン チャン・キム著 入山章栄訳 ダイヤモンド社 2015
ステージゲート法 クーパー著、英治出版 2012
JTのM&A 新貝康司著 日経BP社 2015
成績評価の方法
成績評価基準:(1)クラス討論50% (2)レポート20% (3)グループ発表30%を目安とします。
レポート評価基準: (1)授業内容理解度、(2)考察力、(3)実践応用力、(4)論述力、(5)作成努力
レポート未提出、欠席が3回以上ある場合は、評価しない。
教員から一言
人は若き日に心に抱いた人物像へと近づいていくものだと思います。「夢は決して捨てずに。努力は少しも惜しまずに。」その日が必ずくることを信じ続けることが重要だと思います。
キーワード
経営学、マーケティング、ファイナンス、ベンチャー、イノベーション、リーンスタートアップ、ビジネスモデルキャンパス、グローバル
オフィスアワー
随時受け付けます。 予めメール等で連絡下さい → hdeki-hayashida@go.tuat.ac.jp
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2023/06/10 9:49:06